デザインの仕事をしていると、”上手くいかない”と感じるシーンにぶち当たる事がたまにあります…
ここで言う”上手くいかない”は、仕上がったデザインに対してもそうですが、進め方やコミュニケーションの部分など様々です。
これまでの経験から、いくつか決まって”上手くいかない”パターンがあるのでご紹介したいと思います。デザインを依頼する側も、制作する側も、スムーズに進行できるように参考にしてください。
「任せるので、○○な感じで!」というパターン
恐らく一番多い失敗例がこれです。
多くのデザイナーさんは経験があると思いますが、これが失敗する理由を分解して見ていきましょう。
「任せる」は半分くらい嘘
重複しますが、過去に何度も仕事をしたうえでの「任せる!」は、本当に任せてもらえている場合が多いですが、ここでの例は、まだそれほどお互いのことをわかってない状態での「任せる」です。
実際に、この状況で制作を進めて初稿確認の際に全然違う指示が出る…みたいな事もあり得ます。
デザイナーの持つ色やトーンを理解したうえで、この人にお願いしたい!ってなった場合を除いては、この「任せる」を真に受けるのは危険です。
場合によっては、詳細な指示が面倒で「任せる」と言って、叩きになる初稿を作らせようと考えている人もいます。
イメージを共有する
このまま進めるのは危険なので、少なくともイメージに近い画像やWebサイトを共有して、方向性を決めましょう。
これだけでも初稿提出時のズレを大幅になくすことが出来ます。
有名ブランドでイメージに近いものがあれば口頭でも良いでしょう。先方から提出してもらうのは無理があるので、こちらから「こんなイメージですかね?」といくつかイメージの共有を行い、Yes / Noの判断を仰げば比較的スムーズに方向性は決められます。
「○○な感じ」は人それぞれ
ここにも危険な表現が含まれています。
例えば「優しい感じ」と伝えられても、その表現の仕方は人それぞれです。特に業種・業態によって表現の幅には大きな開きがあります。
ここも上記と同じように、「こんなイメージですかね?」と具体的なイメージの共有を行うと良いでしょう。
めちゃくちゃ細かい指示があるパターン
「任せる」の反対に位置するこのパターンも失敗が多い例です。
事細かにフォントの種類や色、使い画像とサイズなどを指定されている場合、スムーズに進みそうなものですが、どこに落とし穴があるのでしょうか?
実際に作ってみるとイメージが違う
事細かに指示され、それ通りに初稿を作ってみても、「なんかイメージと違いますね…」とフィードバックが戻ってくることがあります。
そりゃあデザインの経験がない人が頭の中だけで作ったイメージですから…仕方ないと言えば仕方ないですよね。
こういったワイヤーに近いものがある事自体、デザイナーにとっては非常にありがたいことなので、細かい部分はデザイナーに任せて、掲載内容一覧のような、もっとラフな情報を提出してあげると良いでしょう。
ここでもイメージの共有は大切
具体的な指示があって、ワイヤーがある場合でも、会社やブランドのトーンというものでデザインが決まってくるので、前述の通りイメージの共有を行いましょう。
そこで共有されたイメージから、デザイナーはフォントの雰囲気やサイズ感などを把握して、デザインに落とし込んでいきます。
もし、過去に制作された自社のツールなどがあれば、それを共有するのも良いでしょう。
あらかじめ遊びを与える
細かくワイヤーまで作って頂けるのは非常にありがたい事なので、それに対して「ここの部分はイメージなので…」というように、デザイナーに一任する範囲を決めてあげましょう。
逆に、意図的に「ここは絶対にこう!」という指示がある場合も同様です。
どんなデザイナーにも、少なからず”自分の色”というものを持っていますので、その色と依頼側の色を上手く掛け合わせて出来るオリジナルのデザインが一番強いです。
これが自然に実現出来るように、あらかじめ遊びを与える事も非常に重要です。
中身が決まってないまま走るパターン
ベンチャー企業や、新しいサービスの立ち上げなどの際に多いパターンですね。
悪い意味で”上手くいかない”わけではありませんが、状況として停滞してしまう事が多いパターンです。
提供待ちが多くなる…
サービスとして固まっていない部分があると、どうしてもデザインに必要な情報提供が遅れてしまいます。
例えば、サービス概要の紹介テキスト、料金表、お申し込み方法などなど…その内容は多岐に渡りますが、これらが揃わないとワイヤーくらいまでしか進められないので、進行が止まってしまいます。
Webサイトなんかになると、代表挨拶やら会社紹介など、もっともっと必要な情報は多くなるので、事前にある程度のスケジュールを決めておくと良いでしょう。
内容に応じてデザインを何度も変更
これも決まっていない事が多い場合にありがちですが、先週決まった内容が今週の指示で変わってる…みたいなパターンですね。
社内の会議などで検討した結果、変更が生じているものとは思いますが、サービス紹介パンフレットなどでは、内容に応じてアイコンやイラストを制作する事も多くあるので、正直ここの変更は嫌なものです。。。
このパターンで一番気を付けたいのが、完成間近に大幅な変更が生じることです。
どんなものでも一番避けたいことですが、特にこういった案件には多いです。出来る限り良いものを正確に作りたいとは思っていても、何度もこういうことが起こるとデザイナーもモチベーションに影響するので、双方気を付けましょう。
番外編:ディレクターが…パターン
案件によっては、クライアントとデザイナーの間にディレクターが入る場合もあります。
このディレクターによっても、結果は大きく変わってきます。
全然ディレクションをしない
ディレクターはディレクターですから…ディレクションしてくれないと困ります。ただのフロントではありません。
間に入って連絡のやり取りを管理するだけなのであれば、直接やり取りをした方がよっぽど良いですね。
もちろん、案件ごとに事情があるので、強くは言えません、そこのポジションは双方にとってかなり重要であることは間違いありません。
ただのYESマンになっている
クライアントの要望にもYES。
デザイナーからの提案もYES。
一見、良い人に見えるYESマンですが、いざ仕事になると何も形に出来ず、修正の繰り返し…みたいな事態に陥ります。
クライアントのやりたい事を理解して、それに最適なデザインを一緒に生み出すのもディレクターの仕事です。
クライアントからすればデザイナーであり、デザイナーからすればクライアントである。そんなディレクターをみんな求めています。
答えを持っていない
「ちょっとわからないんですけど…」から入っちゃうパターンのことですね。
実際わかってなくても、それはディレクターとしては言っちゃいけない事ですね。
ぼくも実際ディレクターとして入る案件がありますが、まずは自分ごとにして、自分の言葉でそれぞれに話をしないと信頼されないです。
自分ごとにする為に必要な情報は、しっかりとヒアリングしましょう。そのうえで「こうしたい!」という答えを持ってデザイナーに指示してあげてください。
そうすれば、きっと良いものが作れます!
まとめ
デザイン制作が”上手くいかないパターン”をいくつかご紹介してきました。
いずれも、コミュニケーション不足が原因で起こる悪い結果です。不安なことが少しでもあれば、制作に着手する前にコミュニケーションを取りましょう。
また、デザインを依頼する場合も、急いで形にしてしまうのではなく「依頼する準備」が出来てから依頼することで、お互いの変なストレスをなくす事が出来ます。
お互いの理解を深めることで、必ず良いデザインに繋がります。
手間を惜まず、特に初めて仕事をする場合は、双方コミュニケーションを大切に進めていきましょう。