世の中にはたくさんの種類のデザインがあります。
ぼくらがクライアントさんからご依頼頂くグラフィックデザイン1つ取っても、その種類はたくさんです。
そんな中でも、うちではシンプルでフラットな「ミニマルデザイン」に近いデザインを制作することが多くあります。(お客様のご要望にもよりますが…)
そんな「ミニマルデザイン」を制作していると、たまに『このデザインならパワポとかでも出来そうですね…』と勘違いをされる方がいらっしゃいます。
もちろん、悪意があって言ってるわけではないと思うのですが、みなさんもそれに近いことを感じたことはありませんか?
先日、実際にぼくもそれに近いシーンに出くわしたので、改めてその時に感じた”デザイン制作に必要なスキル”についてお話したいと思います。
デザイン制作に必要なスキル
実際、クライアントさんからデザイン制作の依頼を頂いて、制作を進めていくうえで必要とされるスキルは大きく分けて、この3つかなと思っています。
- 考えるスキル
- 操作スキル
- 提案スキル
もちろん、全てにおいてコミュニケーションスキルが必要なのは言うまでもありませんが、デザインが作られる工程ごとに分けて見ていくと、こう分けられると思います。
1つずつ解説していきます。
考えるスキル
デザイン制作のうえでは、恐らく最も大切になってくるであろう「デザインを考えるスキル」です。
デザインのトーンや仕上がり、細かいレイアウトはもちろん、商品やブランドのコンセプトや背景を考慮したうえでのデザインになるよう考える必要があります。
この時に、デザインが使われる目的、シーン、ターゲットも理解してデザインの中身を決めることで、ただカッコいいデザインで終わらず「成果の出るデザイン」にしていくことが出来るので、とても大事なスキルです。
操作スキル
次に、実際に考えたことを形にするための「操作スキル」です。
IllustratorやPhotoshopなど、実際にデザインを制作していくために使用するアプリケーションを操作するスキルも当然必要になってきます。
考えるスキルだけあっても、この操作スキルが乏しければ、デザイナーとして自分のデザインを実現することが出来ません。(考えるスキルだけを伸ばしてディレクションをするというのはまた別のお話)
逆も然りですが、この2つのスキルは掛け算のようなものなので、どちらも伸ばしていくことに越したことはありません。操作スキルは勉強で伸ばせますので、ドンドン伸ばしていきましょう!
提案スキル
この「提案スキル」は、直接的に制作に影響をするものではないので、上図では点線にしています。
しかし、実際にデザイン制作をしていく過程の中で必ず必要になるスキルだと思っていますので、必要なスキルとして1つ入れました。
デザインを考えて、制作した先には「提出」が必ずありますよね?
この時に、ただただデザインを提出するだけでは、なかなか先に進まないものです。
なぜこういうデザインにしたのか。しっかりとデザインコンセプトや背景を添えることで、クライアントさんも納得してデザインを決定してくれます。
ここが乏しいと、せっかく考えて制作したデザインも台無しになってしまいます…
場合によっては、ここをディレクターが担当するような場合もありますが、デザイナーとしても提案スキルを持っておく方が絶対に良いです。そもそもディレクターにもより深く伝えることが出来ますからね。
「パワポとかでも出来そう…」という人
デザイン制作に必要なスキルを解説したところで、話を本題に戻しましょう。
出来上がったデザインを見て「パワポとかでも出来そう…」と言う人は、先述の【操作スキル】の部分だけを切り抜いて見ていると感じます。
もっと悪い言い方をすれば“表面だけを見て主観で判断してる。”と言わざるを得ないですね。良いデザインを真似て、それ通り作ることは誰にでも出来ます。
デザインは、ターゲット・目的・コンセプトなどを考慮したうえで成り立っています。出来上がったものを見て、パワポでも出来そうだから…という理由でデザインを却下することは本質的ではありませんね。
もちろん、デザイナー側のそれぞれのスキルが乏しい場合はこの限りではありませんが、デザイン制作のうえで「考える」という工程が非常に大切であることは抜け落とさないで頂きたいです。
それも含めて、”デザイン”であることも認識して頂けると嬉しいです。
実際にやってみたら全然違う
それでも、「いや、パワポで出来る」と思っている方は、実際にパワポの操作が出来る人にデザインをしてみると良いと思います。
きっと、その違いに驚くはずです。
どんな形であれ、依頼を受けてデザインを制作しているようなデザイナーは、“デザインの基礎”が身に染み付いています。
特に次のような部分で、デザイナーとそうでない人の違いは如実に現れるはずです。
- フォントのバランス
- 配色
- 余白の使い方
- 画像の使い方
どれも、しっかりとしたスキルがないと上手く扱えない項目ばかりです。
これらの扱いが下手だと、デザイン自体に一貫性を持たせることが出来ず、結果的に見づらいデザインになってしまいます。
表面的に真似るだけでも、実はしっかりとした技術と経験が必要なんです。
パワポがダメなわけではない
最後になりますが本題です。
なぜ「パワポでも出来そうなデザイン」ではいけないんでしょうか?
これをもう一度考えてみてください。
当然、”パワポでも出来るデザインだからダメ”なのではなく、そのデザインを見ているあなたの考えているものになっていないからダメなはずです。
つまり、あなたの考えている商品やブランドのイメージが、デザイナーに上手く伝わっていないのです。
仮にパワーポイントでデザインしているものでも、そのデザインが満足いくものであれば採用になっているはずです。
これは双方のコミュニケーション不足なので、しっかりとその旨をデザイナーに伝え話し合いましょう。これは決して悪いことではありません。むしろ絶対に必要なことです。
なので、単に「パワポで出来そうだから…」みたいな表面的な理由を突きつけるのではなく、イメージを共有し良いものを作っていきましょう!
最後に
「パワポで出来そうなデザイン」は世の中にたくさん存在します。
名刺やチラシ、ポスターにパンフレット…基本的な印刷物はパワーポイントでも制作可能です。
それらのデザインは、「パワポで出来そうだから…」という理由で何か悪い評価を受けているでしょうか?
もちろん、そんな評価は受けていないと思います。
「その商品やブランドに必要なデザインであるか」しっかりとこの軸に則って生まれたデザインです。
デザインの良し悪しの判断は個人の主観ではなく、商品やブランドとして判断し、どんなデザインが必要なのかしっかりと考えましょう。
そうすることで、「パワポで出来そうなデザインだから…」のような発言は減っていくと思います。