映像制作者として独立するために必要な費用とおすすめのモノ

カメラが好きだから、格好いい映像を撮りたいから。様々な理由で映像制作者として独立を一度は考える人は、世の中に石を投げればぶつかるほどいると思います。では独立にあたって、必要な費用やモノってどんなものがあるんでしょうか?今まで映像畑にいなかったけど、独立を考えている人向けに詳しく書いていきます。

簡単まとめ!

映像制作者として独立するには

• カメラ、パソコン、編集ソフトが必要

• 全て揃えたら費用は約60万円

※ここに記載することは、あくまでも最低限必要なモノと費用です。

映像制作者とは

映像制作者について説明する映像制作者

まずは昨今の映像制作者について。

一口に言っても様々な種類がある

僕は映像関係の仕事に携わって9年、独立して3年経っていますが、ようやく余裕を持って映像制作者一本で食べていけるようになりました。ありがたい話で、中学校の非常勤講師としてカメラに関する授業も行わせて頂いてます。

今は基本的に、HPやSNSのWEB向け広告映像や、インタビュー動画、CM、記録撮影などをメインにお仕事を頂いています。ウェイトは少ないですが、個人向けの撮影なんかも行なっています。

一口に映像制作と言っても多くの種類があります。大きいプロジェクトで言えば映画やCM、毎日のようにどこかで行われている結婚式やイベントの記録撮影、企業向けのPV制作。さらには最近はYouTuberという親近感のある映像制作者も増えてきましたね。映像を作る仕事と言っても、一人でできることやできないこと、撮る専門のカメラマンになるのか、編集などを行うエディターになるのか映画監督のようなディレクターになるのか。

ここで紹介する映像制作者は、あくまでも一人で撮影から編集、完パケまでをこなす所謂ビデオグラファーとして独立をしたいと考えている方向けです。細かいことを言うと、そんなビデオグラファーの中にも企業PVを撮るのか、WEBCMやMVを制作するのか、結婚式などの記録撮影を行うのかに枝分かれします。

基本的に必要なモノは同じ

記録撮影を行うにしろPVを撮るにしろ、基本的に必要なモノは同じです。もちろん、よりこだわりを出すために例えば照明が必要になったりすることはありますが、あくまでもこれだけ揃えれば一人で映像制作ができる、という範囲に絞り込んでいます。

近年は需要も人も増加傾向

最近は、一人でもてる一眼レフやデジタル一眼の機材自体が高品質低価格になっており、しかもスマートフォンの登場やインターネット環境の進化でいつでも誰でも手元で動画を観ることができるようになりました。

こういった傾向から、今やSNSに流れてくる企業の広告は写真よりも動画の方が圧倒的に多く、HPでも動画が入れ込まれていたりと、オンライン上はどこもかしこも動画だらけになっています。

それに伴い、映像制作者として活躍する人は右肩上がりで増えていて、もともとスチルをやっていた人もその潮流に乗って映像を生業とするようになってきました。(ちなみにこういった流れはCanonの5DmarkⅡというデジタル一眼が登場してからになります)

個人で映像制作を行なっている人々の特徴として、基本的にはこういった小型の機材を振りまして撮影を行なっています。たまに業界トップランナーの方はREDなどのシネマカメラを取り扱ったりしていますが、今回はこのデジタル一眼を使うビデオグラファーとしての独立に焦点を当てたいと思います。

独立に必要なモノ

様々な映像制作に必要なモノ

では具体的にどういった物が必要になるのでしょうか。

①機材

釣竿無くして釣りができないように、映像を撮るのにはカメラが必要になります。たま〜にいるのです、数千円のビデオカメラやiPhoneでもできるでしょ、と豪語する方が。もちろん、映画の中には全編iPhoneで撮影した作品があったりします。

だけど、よく考えてください。あなたがもし映像制作者として独立しご飯を食べていくということは、プロになるということです。例えば、お金を払って美容師さんに髪を切ってもらったときに、美容師さんの使っている道具が全て百均で揃う整髪器具だったらどう思います?

弘法筆を選ばずと言いますが、今から独立しようという方は技術面はまだまだなはず。プロで志の高い人が全編iPhoneで撮る映画と、映像を何も知らない人がiPhoneでなんとなく撮る映画には大きな隔たりがあります。

ですので、映像制作者として独立するには下記の機材が必ず必要になってきます。あとカメラはそこまで急に値段落ちしないので、最初に多少高いのを買っても大丈夫!


  • カメラ・・・・Panasonic GH5や、Sonyのα7SⅡなどがおすすめ。コスパを考えるならGH5が良い。
  • 三脚・・・・・これも必須です。数千円のちゃちな写真用三脚ではなく、ビデオ三脚を買いましょう。マンフロットのMVK500AMとかおすすめです。
  • SDカード・・・記録メディアとして必要になります。駆け出しの頃から4K60pなどで撮る案件は無いと思うので、SanDiskのU3、64GBとかで十分です。

②パソコン

次に撮影した映像を取り込んで編集するパソコンです。こちらは、Macを買うかWindowsを買うかでかなり価格帯が変わってきます。例えばMacで30万円ほどするスペックでも、Windowsで組めば10万円程度…なんてこともあります。ただ、信者ではありませんが個人的にはMacをおすすめします。理由は物持ちが非常にいいです。

経験則になってしまいますが、Windowsを搭載したメーカーパソコンは、2年も使えばろくに動かなくなります。僕が独立後最初に購入したMacbookPro(2013年モデル)はメモリが8GBと頼りなかったですが、なんと5年以上問題なく使えました。しかもまだまだ現役。最近最新のMacbookProに買い換えて気分は上々ですが、予備のマシンとしていまだに活躍中です。

そして映像制作者として駆け出した多くの方が1080pという形式のFHD(フルHD)サイズでの撮影と編集になると思います。今のYouTubeやSNSのほとんどがこれで事足りています。

Macの場合は、予算に余裕があるのであれば2018年モデルのMacbookProであればFHDの編集は全くストレスなく行えます。Windowsの場合はcorei5以上(理想はi7)、メモリは8GBあれば、なんとかFHDの編集はできるかなという感じです。

ちなみに言うと、個人で独立を考えている場合はノートパソコン型をおすすめします。理由は、実際に客先で修正作業を行なったり、結婚式で映像の出力に使ったりと、何かと持ち歩く機会が多くなるからです。費用については、Macを基準に記載します。

③ソフト

続いて編集のソフトです。有名どころでいくと、FinalCutPro、AdobeのPremiereProなどがありますね。あとは、カラーグレーディングなどに使うDavinchiResolveも編集機能がついてたりしますが、こちらは少々パソコンのスペックが必要になります。

僕も時と場合に応じて全てのソフトを使い分けていますが、一番のおすすめは、AdobeのPremiereProです。理由は費用のところで後述しますが、Adobeに月額で入ると、PhotoshopやLightroom、Illustraterなど各種ソフトが使えます。例えば、動画のシンプルなタイトルなんかはPremiereProで作ってしまうよりかは、Illustraterでアウトラインしたテキストを作って、pngファイルで書き出した方が後から使いやすかったりします。

あとは何より、AfterEffectが使えるということ。こちらも映像制作者にとって必須のソフトとなってきましたが、モーショングラフィックやテキストのアニメーションをつけたりするときに重宝します。これが全て使えるのは、やはり大きなメリットとなります。費用はこちらを基準に後述します。

④美意識

はい、こちらはお金がかかりません笑。映像を作るうえで、というか映像だけではなく写真もデザインも全てなのですが、自分の中にある美意識が必要になります。センスと言っちゃうと発展性に欠ける気がするので、敢えて美意識と言います。

例えば、撮影をしているときにモデルさんの髪の毛が口に入っていた。モデルさんは気づいていない。そんな時に、カットしてリテイクできるか。または、綺麗な夕日を最後の締めに使いたいのに、あいにくの曇り。撮影するにはまた別の日に来る必要がある。面倒臭い…と思いつつ再撮影に行けるかどうか

自分が世に出す映像に、明確な美意識があるかどうかでクオリティは全く違います。これは初心者であろうと熟練者であろうと関係ありません。無料のソフトで、安いカメラで動画が作れるからと言って、それで満足していては絶対に仕事になりません。ダサいフォントで、ブレブレのカメラで汚い部屋が映っているYouTuberが流行ると思いますか?

もちろんそれが全てではありません。ですが、プロとして独立するのであれば、まずこういった内面的なものも必要になってきます。

⑤コミュニケーション能力

次に社会人なら当たり前と言われるコミュニケーション能力。こう言ってしまうと語弊があるのであまり好きではないのですが、映像制作におけるコミュケーション能力とは、調整能力のようなものです。お酒が飲めて、面白い話ができて…なんてのは必要ありません。あるに越したことはないですが。

僕は以前何十人もの人が働く、それこそドラマとかを撮影する撮影所で仕事をしていたのですが、そこでは何をやるにしても各部署で担当の仕事が決まっています。制作部は撮影のスケジュール調整から資金調達、ロケ地の決定。撮影部は文字通りカメラを回す仕事ですが、例えばドリーレールを敷いたり、ジンバルを使ったり。

本来の撮影はここまで多くの人が関わって、スポンサーやお客さんとやりとりを行い、さらにはモデルや出演者に指示を出して撮影が円滑に進むように勤めています。簡単に言ってしまうと、個人で独立して映像制作者になる場合、これらを全て一人でやらないといけません

僕のケースで話します。通常、制作部が行う絵コンテ制作とお客さんとの企画打ち合わせ。まずこれを一人で行います。次に撮影日の調整とモデルの手配。これも僕が一人で行います。続いてロケ地探しとロケハン。当然私有地出ない場合は使用許可をとらないといけません。やっとのことで撮影当日。重い機材を運んで設置するのも、モデルへの指示出しも、全て僕が行います。当たり前ですが、出演する人が多ければ多いほど大変です。さらにパブリックな場で映像を流す場合は、出演者の同意書も用意して署名してもらわないといけません。

最後に撮影したデータを持ち帰り、編集。PVなどの場合は、WEBで公開しても大丈夫なロイヤリティフリーの音楽を探します(これは絵コンテ段階で見つけることも)。とりあえず初稿をお客さんに出すと、修正指示が入ります。完パケするまで修正と提出を繰り返し、やっとこさ終了です。

こういった一連の仕事を、一人で進めるには、コミュニケーション能力は必須になります。というか否が応でも勝手についてきます。もちろん世の中には全く真逆の職人タイプの方もいますが、流石にそこまでいくと圧倒的なスキルを持っていることが大半です。

独立に必要な費用

映像制作にかかる費用はとりとめない…

では具体的な費用です。

①機材費・・・30万円

カメラ、三脚、SDカードを買い揃えると大体これくらいになります。ちなみにこれでも全く不十分です!笑

PanasonicのGH5のレンズセット新品で24万円くらい。Sonyのα7SⅡはボディだけで23万円くらい、プラスレンズを買わないといけません。イメージとして、Sonyのα7SⅡは多くのビデオグラファーが愛用する機材となっていますが、フルサイズというセンサーサイズなので、レンズなどがGH5に比べて少し割高です。

三脚はマンフロットのMVK500AMが大体4万円くらい。SDカードは一枚4,000円あれば買えます。これで合計約30万円ですね。α7SⅡを選択するともうちょっと足が出ます。

例えば追加のバッテリー、カメラのレンズ各種、録音機器やマイク、NDフィルター、動きをつけるためのスライダー、ジンバル、ドローン…。挙げ始めるとキリがありませんが、とりあえず明日にでも動画を撮って編集していこうと思えば、上記の3種があればやっていけます。

②パソコン費・・・30万円

Mac基準での価格になります。予算が厳しければ、Windowsのパソコンにすればもう少し費用は抑えることができます。

③必要に応じてかかる費用・・・5万円

例えばカメラバッグや、焦点距離の異なるレンズ、パソコンにつかう外付けHDD。この辺はイニシャルとして必須ではありませんが、やっていくうちに必ず必要になってきます。

あと、持っている方はいいと思いますが、映像制作者にとって車があるかないかは結構重要な境目になります。僕は撮影のときは基本的に車移動です。もしものときに機材は多めにもっていくので、とてもじゃないですが公共交通機関は使えません。

④月額支払い(ソフト費用)・・・5,378円

こちらはAdobeの月額契約費用です。学生の方などはもう少し安く利用することができます。ただ、この金額は感覚として非常にお得。フォントのダウンロードや、他のソフトをいじれまくれますので。

ちなみにですが、FinalCutProというソフトを購入した場合は約35,000円。一回買えば済むので、こちらの選択肢もありですね。マシンのスペックに余裕があるのであれば、DavinchiResolveを選べば基本は無料で編集できます。ただし個人的にこの編集機能は使いにくい…。一度使ってみてから考えるのもありですね。

まとめ

では最後にまとめていきます。

映像制作者になるには、

  • カメラ、三脚、SDカード・・・・・約30万円
  • パソコン・・・・・・・・・・・・約30万円
  • 編集ソフト・・・・・・・・・・・・月額5,378円

合計 約60万円+月額費用

これらが必要となります。確かに今思い返せば僕もサラリーマン時代に必死に貯めたお金を叩いて揃えました。

これからどんどん需要が増えていく映像制作者。もし独立を考えていて、映像作品が好きなのであれば、考えてみてはいかがでしょうか!

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PROFILEわたしが書きました

itotty

普段は動画制作をしてます。itottyです。
好きな映画は「ファイト・クラブ」、「ブギーナイツ」、エドガー・ライト作品全般などなど。映画がとにかく好きなので、映画と絡めて面白くて、わかりやすい記事を書いていきます!