みなさんは、実寸サイズの印刷物を作るとき、どのようにしていますか?
A4やA3など、規定サイズに印刷することはあっても、例えばここにピッタリのものを作りたい。と思ったときに、作り方がわからない…なんてことありませんか?
オフィスの簡単なご案内や、お店のPOPなど、任意のサイズで印刷物を作りたいけど、やり方がわからない…という方向けに、その方法をいくつかご紹介します。
前提条件
具体的な操作方法をご紹介する前に、今回の前提条件をご説明します。
比較的みなさんの周りでも多いと思うシチュエーションにしていますが、条件が違う場合は、それぞれの条件に合わせて設定を変更してください。
制作物
今回はオフィスや、イベント会場で使えそうな「入口のご案内」を作ることを前提に進めていきます。
- 【完成サイズ】高さ:20cm × 幅:15cm
- 【その他】はさみorカッターで切って仕上げ / ラミネータ使用
プリンターについて
プリンターによっても左右されるものもありますが、今回想定しているプリンターは以下です。
- 【印刷可能最大サイズ】A4
- 【その他】フチなし印刷が可能であればなお良い
Adobe Illustratorの場合
まずは、これがあれば一発OKなAdobe Illustrator。
正直、イラレを所有していない方も多いと思いますが、「会社にはあるけど、誰も使ってない…」みたいなこともあるので、まずはデザインもしやすいイラレでの制作方法をご紹介します。
1.まずはデザイン枠を作る
イラレを立ち上げたら、「ファイル」→「新規…」をクリックします。
すると、上記の「新規ドキュメント」が現れて、新しく制作するドキュメントサイズを設定する画面になります。
ここに、プリンターの印刷可能最大サイズであるA4(210mm×297mm)を入力し、「作成」をクリックします。
※プリセットで「A4」があると思うので、そちらでも可能です。
A4のアートボードが作成出来たら、左側にあるツールボックスから「長方形ツール」を選択し、A4のアートボード内の適当な場所をクリックしてください。
ダブルクリックでも、ドラックでもなく、ワンクリックです。
すると、「長方形」というウィンドウが表示され、サイズ入力出来るようになるので、ここに制作物のサイズ(200mm×150mm)を入力します。
※作成した長方形は「塗り:なし / 線:黒」にしておいてください。
2.デザインしていく
あとは、この作られた長方形の中にデザインを作っていけばOKです。
ここでは、実寸の作り方をご紹介するので、イラレの操作方法は割愛します。
3.PDFで書き出し
デザインが完成したら、「ファイル」→「保存」をクリック。
すると、保存先やファイル名を入力する画面が現れるので、任意の名前をつけ、ファイル形式を「Adobe PDF(pdf)」に設定して保存します。
「保存」をクリックしたあとに、PDFの詳細設定が出来ますが、この程度のデータであれば特に気にすることはないので、そのまま「PDFを保存」をクリックしてください。
これでデータ自体は完成です。実際の印刷方法は最後にご紹介しますね。
動画で見たい方はこちら
とは言っても、実際に操作してるところも見てみたい!という方のために、Sokoage Channelでは操作方法を動画で公開しています。
ぜひ、こちらも合わせてご覧ください!
Microsoft Wordの場合
イラレの次に作りやすのが、Microsoft Word。
ワードなら、ほとんどの方が使ったことがあると思いますし、会社のPCにも入っていることでしょう。
ワードはイラレ同様、一番最初に「A4」という枠組みを決められるので、便利で作りやすいです。
1.まずはデザイン枠を作る
ワードを立ち上げたら、「ファイル」→「新しいドキュメント」をクリックします。
すると、特に何の設定もなく白紙のファイルが作られると思います。
そこに、ワードのメニュー内「挿入」→「図形」→「正方形/長方形」を選択し、白紙のファイル上に適当なサイズで長方形を作ってください。
その長方形を選択し、ワードのメニュー内「図形の書式設定」でメニューの一番右に表示される、サイズ部分に制作物のサイズ(200mm×150mm)を入力。
これで、制作物の外枠が出来上がります。
※作成した長方形は「塗りつぶし:なし / 線:黒」にしておいてください。
2.デザインしていく
あとは、ワードの図形やテキストボックスを使い、枠内にデザインを作っていきます。
こちらも、ワードの操作方法は割愛します。
3.PDFで書き出し
デザインが完成したら、「ファイル」→「保存」をクリック。
すると、保存先やファイル名を入力する画面が現れるので、任意の名前をつけ、ファイル形式を「PDF」に設定して保存します。
これでデータ自体は完成です。こちらも実際の印刷方法は最後にご紹介しますね。
Microsoft Excelの場合
図形やテキストを自由に配置しやすい。という理由で、POP等をExcelで作るという人も多いと思います。
が、エクセルは印刷向けというより、表計算ソフトなので、本当は今回のような実寸印刷は不向きですよね…
とはいえ、Excelユーザーさんのためにも、Excelでの制作方法をご紹介します。
1.まずはデザイン枠を作る
まず、エクセルを立ち上げたら、新たに空白のブックを作成します。
新しいブックが作られたら、メニュー内「表示」→「ページレイアウト」を選択します。
エクセルは通常ピクセル単位で大きさを決めますが、これでエクセルが印刷モード(?)のような感じで、cm(センチメートル)単位の調整が出来るようになります。
なお、この時点で特別な設定をしてない限りは1枚のシートはA4サイズになっていると思うのですが、念の為に以下の設定をご確認ください。
エクセルのメニュー内「ページレイアウト」→「サイズ」を開き、ここが「A4」になっている事をご確認ください。(A4でない場合は、印刷可能最大サイズであるA4に設定してください)
新しいブックが作成されたら、デザイン枠を作るために、A列の上で右クリックし「列の幅…」をクリックします。
すると、列の幅を設定出来るようになるので、制作物の幅(15cm)を入力します。
これで、横幅が15cmになりますので、続けて高さも20cmになるように、1行の高さを同様の操作で調整します。
※1つの行では高さを20cmに設定できない場合があります。その場合は、複数業のセルを結合し、その合計が「20cm」になるように設定してください。
※また、作成したデザイン枠は外枠を黒線で囲うようにしてください。
2.デザインしていく
あとは、エクセルの図形やテキストボックスを使い、枠内にデザインを作っていきます。
こちらも、エクセルの操作方法は割愛します。
3.PDFで書き出し
デザインが完成したら、「ファイル」→「保存」をクリック。
すると、保存先やファイル名を入力する画面が現れるので、任意の名前をつけ、ファイル形式を「PDF」に設定して保存します。
これでデータ自体は完成です。こちらも実際の印刷方法は最後にご紹介しますね。
Microsoft PowerPointの場合
最後はMicrosoft PowerPointです。
スライド作成ソフトですが、エクセル同様に、パワポも比較的テキストや図形の配置が楽なので、POP作成などに愛用している人も多いですね。
1.まずはデザイン枠を作る
パワポを立ち上げたら、新しいプレゼンテーションを作り、パワポのメニュー内「表示」→「スライドマスター」をクリックし、マスター編集画面へ行きます。
そこで、メニュー内「スライドマスター」→「スライドのサイズ」→「ページ設定」から、上記のサイズ設定画面を開きます。
ここで、最大印刷可能サイズであるA4(210mm×297mm)を入力します。
サイズの設定が完了したら、メニュー内「スライドマスター」→「マスターを閉じる」をクリックし、通常の編集画面に戻ります。
※実は、ここで入力した値をそのまま使うわけではないのですが、編集時にデザインをイメージしやすいようにA4にしています。
マスターの設定が出来たら、パワポのメニュー内「挿入」→「図形」→「正方形/長方形」を選択し、白紙のプレゼンテーション上に適当なサイズで長方形を作ってください。
その長方形を選択し、ワードのメニュー内「図形の書式設定」でメニューの一番右に表示される、サイズ部分にA4サイズ(210mm×297mm)を入力。
大切なのでもう一度言います、まず最初に制作物のサイズではなく、最大印刷可能サイズであるA4サイズの長方形を作ります。
これで、制作物の外枠が出来上がります。
そのうえで、その外枠の中に、同じ操作で制作物サイズの長方形を作ります。
※作成した長方形2つは、どちらとも「塗りつぶし:なし / 線:黒」にしておいてください。
2.デザインしていく
あとは、パワポの図形やテキストボックスを使い、枠内にデザインを作っていきます。
こちらも、パワポの操作方法は割愛します。
3.図として保存
デザインが完成したら、全てのオブジェクトを選択してください。(Macの場合:command+A / Windowsの場合:ctrl+A
全てのオブジェクトが選択された状態で、どこかのオブジェクト上で右クリックします。表示されたメニュー内にある「図として保存」をクリックします。
すると、保存先やファイル名を入力する画面が現れるので、任意の名前をつけ、ファイル形式を「PDF」に設定して保存します。
これでデータ自体は完成です。こちらも実際の印刷方法は最後にご紹介しますね。
印刷について
イラレから、Office系のソフトまでの実寸大での印刷物制作方法についてご紹介してきました。
最後に、これらのデータを印刷し、実際の印刷物として仕上げる部分を見ていきます。
PDFで保存する理由
どのデータもPDFで書き出して印刷するという方法にしましたが、アプリケーションから印刷を掛けて、思うように印刷出来れば、それでも問題ありません。
ですが、本来そういった用途に開発されていないソフト(特にExcelとPowerPoint)の場合、画面上で見ているものと違う印刷されてしまう場合があります。
画面で見ているレイアウトは、あくまでプレビューなので、こういったズレ生じます。
それに対し、PDFはプリント状態のページを保存したファイル形式のため、ディスプレイ上での見た目と印刷に相違が生じにくいのです。
等倍で印刷する
上記の理由で、アプリケーションからの直接印刷でうまくいかない場合、PDFで書き出して印刷します。
一般的に、PDFファイルを開くアプリケーションは、Adobeの「Acrobat Reader」が多いと思います。違うアプリケーションの場合でも、設定箇所は同じですので、ポイントだけ抑えてください。
作成したPDFファイルを、「Acrobat Reader」で開いたら、メニュー内「ファイル」→「プリント…」をクリックします。
すると、上記のよな印刷設定画面が表示されます。
ここで、特に重要なのが「ページサイズ処理」部分です。ここだデフォルトだと、「用紙サイズに合わせる」や「余白に合わせる」のような設定になっているので、ここを「実際のサイズ」に設定します。(別のアプリケーションで、同じ項目がない場合は倍率が100%で印刷されるように設定します)
そして、印刷プレビューが出ているようであれば、印刷方向が正しいか確認し、「印刷」をクリックします。
外枠を切って完成
印刷されたものを見てみると、「塗り:なし/外枠:黒」に設定した枠線が出ていると思います。
これに合わせて、はさみやカッターで切ると、制作物サイズ(200mm×150mm)になっているはずです。もし出来てなければ、どこかのステップを踏み外していますので、もう一度見返してみてください。
最後に、これをラミネートなどで仕上げて実際に使用開始です!
動画で解説
最後になりましたら、実際の操作などがわかりづらかった方は、こちらの動画でも解説していますので、合わせてご覧ください。
そして、少しでも参考になれば、高評価&チャンネル登録頂ければ嬉しいです。