前回の企画立案編に引き続き、今回はストーリー性のある映像の肝となる出演者探しについてです。
どうやってキャストを予算内で探したかを書いていこうと思いますので、今後映像制作を行う方は是非ご参考にしてみてください。
映像制作のモデル、キャスト探し
まず、映像制作には付き物のモデルやキャスト探しについてです。
流れるように決まった『NAISEI』のWebプロモーション企画ですが、ストーリー性のある映像という骨子が決まっていたので、セリフのある配役が必要でした。
僕が今までやってきた映像制作では、セリフのないアクションだけのモデルは起用するのが常でした。ご飯を食べている感じ、友達と笑っている感じ。いずれも「軽く演じてもらう」レベルでした。
そういった場合のモデルの方は、スチールのモデルをやっている方で十分事足りたりします。サロモ、ブライダルモデルなどなど。「カメラを向けられる」お仕事をしている方で、映像が成立するんですね。
ただし、セリフがあったり、表情で語る必要がある場合にはそうはいきません。領域が「役者」の方になってくるんですね。この辺りは一概に線引きできないんですが、今までの経験上「セリフが無い」場合はモデルの方へ、「セリフ」がある場合は役者の方にお願いしていました。
「うちのスタッフ使おうよ」の地獄
話が少し『NAISEI』の撮影話から逸れますが、会社紹介や商品紹介の映像制作を行う時に、クライアントの社内でモデルやキャストを代用しようという話が出ることがあります。
当然、モデルやキャストを起用するとギャラがかかるため、予算を抑えたいという気持ちはわかります。また、シルエットや引き画での簡単な動作、手などのパーツだけの撮影の場合は僕も社内スタッフで十分だと思います。
しかしですね、スタッフを使うということは映像を作る側からすれば、かな〜〜りやり辛いのです。理由が下記。
- そのスタッフが辞めた時ややこしい
- 顔のアップなど、寄りの画が撮れない
- そもそもモデルでも何でもない
- 少しの「ぎこちなさ」が全体に影響
という感じです。
上から説明すると、まず出演した社内のスタッフや社員が辞めた時、かなりややこしくなってしまいます。その映像自体が使えなくなったり、辞めた社員側から使うなと言われてしまえば一発です。
次に顔のアップなどができないという点。これは人様々なのですが、モデルさんというのは誰よりもお肌にお金をかけています。反面素人はどうかと言えば、ムダ毛の処理、肌のキメ、全てにおいて”プロ”には敵いません。残念ながら。中には肌が綺麗な素人の方もいますが、モデルの方は「写されてもいいように」細心の注意を払っているのです。だから、PVなどで素人さんが出演中に、寄りを撮ってくれと言われても、こちらが申し訳なく撮れないのですね。だってみなさん自分がアップの写真なんてSNSにあげますか?
上記と被りますがそもそも素人の方はモデルでも何でもありません。これはイコール、「カメラを向けられ慣れていない」ということです。
そういった不慣れな雰囲気は、全て「ぎこちなさ」として表れてしまいます。そしてその少しの「ぎこちなさ」は映像全てのクオリティに関わってきてしまうのですね。
「うちのスタッフを使おう」は、大前提オッケーなのですが、映像作品の中身によっては、地獄になってしまうことがあります。
出演者を探すのに使ったサイト
話を戻します。僕も助監督時代に、それこそテレビで毎日見るような演者の方を目の前に仕事をしていました。なので、出演者を選ぶというのは慎重にならなければいけません。
事務所や劇団に声をかけるのは手っ取り早いですが、より広く探すためには応募式のWebサイトを使います。セリフのないモデルさんを探す場合は手っ取り早くInstagramなどを使います。
使用したサイトは下記。
シネマプランナーズという、自主制作映画などのスタッフ、キャストを募集するサイトです。今まで何度もお世話になっているのですが、今回もここで募集をかけてみました。
ちなみに応募総数は、三役合計で150人ほど。メールボックスがパンパンになりました。今まで何度か使ってみて、ギャラありの設定にすると、これくらいは軽く集まる印象です。
応募に必要な情報として、最新の写真と、参考映像、実年齢や実績などを添えて頂き、2週間に渡り精査させて頂きました。
なんとか思い描くイメージ通りの方も見つかり、一安心。
ロケ地探し
キャストは見つかり一安心したものの、ロケ地も早く決めなければいけません。
しかし、ロケ地は出演者を探すよりも早く、意外とすんなり見つかりました。
使用したサイトは下記の2種類。
スペースマーケットは有名ですね。AirBNBみたいな感覚で使えます。撮影NAVIさんはガチ目です。ドラマや映画などでも使われるロケ地があり、値段もそれなりにします。
色々決まったが、次なる地獄が…
ロケ地も出演者も決まったのですが、ここからがゲロ吐くほど大変でした。
機材の選定です。
いままでは1人でカメラ携えて短いカットをいくつも撮るスタイルだったのですが、本格的に照明を組んで音声拾って、カメラ回して…と本来ならチームでやるべきことを1人でやることになった僕。10円ハゲができるくらい試行錯誤したお話は、次の回にて…。